ドローンの国家資格である「技能証明」を取得してから、まもなく3年を迎える方が増えています。2022年末に制度が始まって以来、多くの操縦者がライセンスを手にしましたが、この免許には有効期限があることを忘れてはいけません。
免許を維持するためには、期限が切れる前に「更新講習」を受け、DIPS 2.0での「更新申請」を完了させる必要があります。この記事では、初めての更新で迷わないための事前手続きや、具体的な流れをわかりやすくまとめました。
技能証明の有効期間は3年間
ドローンの技能証明証には、3年という有効期限が設定されています。期限が近づくと、登録講習機関(ドローンスクール)での受講や、オンラインでの申請といった作業が必要になります。
この章では、期限を過ぎた場合のリスクや、いつから手続きを始められるのか、現在の状況を含めた全体像を解説します。まずは、更新に関する基本的なスケジュールを以下の表で確認しましょう。
| 項目 | 内容 | 備考 |
| 有効期間 | 3年間 | 免許証の右下に記載 |
| 講習可能時期 | 期限の6ヶ月前から | 早めの受講がおすすめ |
| 申請場所 | DIPS 2.0 | オンラインで完結 |
| 必須事項 | 更新講習の修了 | スクールでの受講が必須 |
期限が1日でも過ぎると失効する
ドローンの免許には、車の運転免許のような「うっかり失効」を救済する猶予期間がありません。有効期限が1日でも過ぎてしまうと、その免許は完全に効力を失います。
もし失効させてしまった場合、再び免許を手に入れるには、新規取得時と同じように高い受講料を払ってスクールに通い直すか、試験場で一から試験を受けるしかありません。
例えば、仕事でドローンを使っている方が期限を忘れてしまうと、新しい免許が届くまでの間、業務ができなくなる恐れがあります。余計なコストと時間をかけないためにも、期限の厳守は絶対です。
手続きは期限の6ヶ月前から可能
更新のための講習や申請は、有効期限が終わる日の6ヶ月前から受け付けが始まります。この期間内に手続きを済ませれば、次回の有効期限が短くなることはないので安心してください。
早めに動くことのメリットは、スクールの予約が取りやすい点にあります。期限ギリギリになってから申し込もうとすると、希望の日に講習が受けられず、申請が間に合わないという心配も出てきます。
「まだ半年ある」と考えるのではなく、半年間も準備期間があると捉えて、スケジュールを確保しておきましょう。まずは自分の免許証を見て、満了日をカレンダーに書き込むことから始めてください。
制度開始以来の更新ラッシュに注意
2022年12月に国家資格制度がスタートしてから、3年が経過しようとしています。そのため、2025年末から2026年にかけて、日本中で一斉に更新時期を迎える「更新ラッシュ」が起こると予想されています。
これまではスムーズに予約が取れていたスクールも、更新希望者が殺到することで、一時的に予約が取りづらくなるかもしれません。
ニュースなどで手続きの混雑が報じられる前に、自分から動いておくのが賢明です。特に一等資格など、特定のスクールでしか更新できない場合は、さらに早めの確認が必要になるでしょう。
DIPS2.0での申請に向けた準備
オンラインシステム「DIPS 2.0」での申請をスムーズに進めるためには、いくつかの道具を揃えておく必要があります。パソコンやスマホの前で慌てないよう、事前に揃えるべきものを整理しましょう。
この章では、更新に欠かせない「講習修了コード」の入手方法や、システムの登録情報の確認について説明します。
登録講習機関で更新講習を受ける
DIPS 2.0で更新申請ボタンを押す前に、まずは「登録講習機関(ドローンスクール)」で更新講習を修了していなければなりません。
講習は、免許を取得したスクール以外でも受講できます。仕事の都合で引っ越した方や、より近くのスクールで済ませたい方は、公式サイトなどで更新講習の実施状況を調べてみましょう。
受講を申し込む際は、自分が持っている技能証明の番号を伝える必要があります。手元に免許証を用意して問い合わせを行ってください。
講習修了コードを準備する
スクールでの更新講習を終えると、数日以内に「講習修了コード」という英数字の羅列が発行されます。
このコードは、DIPS 2.0で「私は正しく講習を終えました」という証明として入力する非常に大切なものです。メールや紙の書面で届くので、失くさないように控えておきましょう。
例えば、申請フォームにコードを入力する際、1文字でも間違っているとエラーが出てしまいます。コピー&ペーストを利用して、正確に貼り付けられるように準備しておくと安心です。
プロフィールの登録情報を直しておく
DIPS 2.0に登録されている自分の住所や氏名が、現在のものと一致しているか確認してください。もし引っ越しなどで住所が変わっている場合、先に「変更届」を出しておく必要があります。
情報の修正を忘れたまま更新申請を出すと、古い住所に新しい免許証が郵送されてしまうといったトラブルが起こります。
特に、ドローンの機体登録は行っているけれど、技能証明の情報は古いまま、というケースは少なくありません。申請を始める前に、一度ログインしてマイページの内容をチェックしましょう。
スクールでの更新講習の内容
更新講習は、新規取得時のように何日も拘束されるものではありません。最新の知識を短時間でアップデートするための合理的なカリキュラムになっています。
この章では、具体的な講習のスタイルや、かかる費用の相場について見ていきましょう。
学科講習で新しいルールを確認する
更新講習のメインは、最新の法規制や安全知識を学ぶ「学科」です。多くの場合、eラーニング(動画視聴)形式が採用されており、自宅のパソコンで受講できます。
ドローンのルールは、3年の間にも細かい改正が行われています。例えば、新しい飛行カテゴリーの運用や、許可申請のルールの変更など、今の運用に合わせた知識を学び直します。
ただ動画を流すだけでなく、最後には理解度をチェックするテストが用意されていることがほとんどです。内容をしっかり理解していないと修了できない仕組みになっています。
修了審査で知識の定着を測る
講習の最後には「修了審査」が行われます。これは新規取得時のような厳しい実技試験ではなく、学んだ内容が身についているかを確認する筆記(または選択式)のテストです。
しっかり講習を受けていれば合格できる内容ですが、もし不合格になると修了証が発行されません。
「自分は毎日飛ばしているから大丈夫」と過信せず、現在の法令を改めて整理するつもりで取り組みましょう。スクールによっては、対面での質疑応答が含まれる場合もあります。
講習にかかる費用と時間の相場
更新講習にかかる費用は、スクールが自由に設定しているため、場所によって多少の差があります。以下の表は、一般的な費用の目安をまとめたものです。
| 項目 | 目安の費用 | 所要時間 |
| 二等資格の更新 | 10,000円〜15,000円 | 1〜2時間程度 |
| 一等資格の更新 | 15,000円〜25,000円 | 2〜3時間程度 |
時間は新規取得に比べれば大幅に短縮されています。仕事の合間や休日を使って、十分に対応できるボリュームです。
複数のスクールを比較して、料金だけでなく「eラーニングに対応しているか」「いつまでにコードを発行してくれるか」といった利便性で選ぶのも一つの手です。
DIPS2.0での更新申請の手順
事前準備と講習が終わったら、いよいよDIPS 2.0での本申請です。画面の指示に従うだけですが、いくつか注意が必要なポイントがあります。
この章では、システム上での紐付け作業や、申請後の流れを具体的に解説します。
証明書番号とコードを紐づける
DIPS 2.0にログイン後、「技能証明の更新申請」のメニューを選択します。ここで、現在の技能証明番号と、スクールからもらった修了コードを入力します。
この作業によって、国のデータとスクールの受講データが正しく「紐付け」されます。
もし、いくら入力してもエラーが出る場合は、スクール側で受講データの登録が完了していない可能性があります。その際は無理に進めず、受講したスクールに状況を問い合わせてみましょう。
身体検査の結果を反映させる
申請画面では、身体検査についても回答する必要があります。多くの方は「自動車運転免許証の情報を利用する」という選択肢を選ぶことで、書類審査のみで済ませられます。
免許証の番号や、有効期限を正しく入力してください。一等資格の方などで医療機関の診断書を用意した場合は、そのスキャンデータをアップロードします。
ここで入力ミスがあると、審査に時間がかかったり、再提出を求められたりします。免許証の数字を読み間違えないよう、一文字ずつ丁寧に確認しましょう。
申請後の審査状況をチェックする
申請ボタンを押した後は、審査が終わるのを待ちます。マイページの「申請状況一覧」から、現在のステータスを確認できます。
審査には通常、1週間から2週間ほど時間がかかります。もし不備があれば「補正依頼」という通知が届くので、速やかに修正して再提出しましょう。
通知は登録したメールアドレスに届きます。普段あまり使わないアドレスを登録している方は、この期間だけでも毎日メールをチェックするようにしてください。
身体検査をパスする方法
技能証明を更新するためには、健康状態が飛行に適していることを証明しなければなりません。これには「書類での確認」と「医療機関での受診」の2つのパターンがあります。
この章では、多くの人が利用する運転免許証による審査と、診断書が必要になるケースの違いを説明します。
運転免許証を使って書類審査を受ける
最も手軽で費用がかからないのが、自動車の運転免許証を利用する方法です。DIPS 2.0に免許証番号を入力することで、視力や聴力の検査結果を国が確認してくれます。
この方法を選べば、わざわざ病院へ行く手間も、高い診断書作成料を払う必要もありません。
ただし、運転免許証の有効期限が切れていたり、記載されている住所が最新のものでなかったりすると、審査に通らないことがあります。先に運転免許証自体の更新が必要な場合は注意してください。
病院で診断書を作ってもらう
自動車の運転免許を持っていない方や、特定の身体条件がある方は、指定の診断書を病院で作成してもらう必要があります。
すべての病院がドローンの身体検査に対応しているわけではないので、事前に電話で確認してから受診しましょう。
また、診断書には「発行から3ヶ月以内」といった有効期限があります。早めに作りすぎると、更新申請時に期限切れとなってしまうため、講習のタイミングに合わせて受診するのがコツです。
一等と二等で違う判定の基準
二等資格に比べて、一等資格はより高い身体能力が求められます。特に視力や聴力、運動能力についての判定が厳しくなることがあります。
以下のリストは、検査時に確認される主な項目です。
- 視力: 両眼で0.7以上、かつ一眼でそれぞれ0.3以上(矯正可)
- 色覚: 信号灯の色(赤・緑・黄)が識別できること
- 聴力: 日常の会話が支障なく聞き取れること
- 運動能力: ドローンの操作に支障を及ぼす欠陥がないこと
例えば、視力が低下してメガネの度数が合っていない場合、検査で不適合となる恐れがあります。不安がある方は、あらかじめ眼科などで調整を済ませておきましょう。
更新にかかる費用と払い方
更新には、国への「更新手数料」が必要です。スクールに払った講習代とは別にかかるものなので、忘れないように予算を組んでおきましょう。
この章では、具体的な金額と、オンラインでの支払い方法について解説します。
国へ納める更新手数料の額
更新手数料は、一等・二等に関わらず一律で設定されています。現在の規定では、1件につき3,000円前後(オンライン申請の場合)となっています。
この手数料は、新しい免許証を作成し、郵送するための事務費用として使われます。
もし、複数の限定解除(目視外飛行や夜間飛行など)を同時に更新する場合でも、手数料が跳ね上がることはありません。一つのライセンスの更新として処理されます。
オンライン決済やATMで支払う
DIPS 2.0での審査が完了すると、登録したメールアドレスに「納付案内」が届きます。支払い方法は、以下の中から選ぶことができます。
- クレジットカード: 即座に決済が完了するため最もおすすめ
- Pay-easy(ペイジー): 銀行のATMやネットバンキングから支払い可能
- コンビニ払い: 近くのコンビニの端末で操作してレジで支払う
支払いが完了した時点で、新しい免許証の発行手続きが進みます。案内が届いてから納付期限まではあまり余裕がないことも多いため、メールが届いたらその日のうちに済ませてしまいましょう。
領収書の出し方と保管のルール
仕事でドローンを使用している方は、支払った手数料の領収書が必要になるはずです。DIPS 2.0のシステム上から、電子領収書(納付完了証明)をダウンロードできます。
紙の領収書が郵送されてくることはないので、必要に応じて自分で印刷して保管してください。
また、スクールの講習代についても別途領収書を発行してもらうようにしましょう。これらをセットにして保管しておくことで、経費精算や次回の更新時の備えになります。
免許の失効を防ぐコツ
「気づいたら期限が切れていた」という事態は、ドローン操縦者として最も避けたい失敗です。特に初の更新ラッシュが予想される今、自分の身を守るための対策を講じましょう。
この章では、見落としを防ぐための具体的なアイデアを紹介します。
システムからの通知メールを確認する
DIPS 2.0には、期限が近づくと登録されたメールアドレスに通知を送る機能があります。しかし、このメールが「迷惑メール」フォルダに分類されてしまい、気づかないケースが多発しています。
「ml.mlit.go.jp」からのメールが届くように、受信設定を見直しておきましょう。
また、機種変更などでメールアドレスが変わったのに、DIPSの登録を変更していない人も要注意です。通知が届かないまま期限を迎えてしまうリスクを減らすためにも、連絡先の最新化は必須です。
満了日をスマホでリマインドする
システムの通知だけに頼らず、自分でもリマインド設定をしておきましょう。スマホのカレンダーアプリを使い、以下の3つのタイミングで通知を入れるのがおすすめです。
- 期限の7ヶ月前: スクールの更新講習を調べる時期
- 期限の6ヶ月前: 講習の申し込みと受講を開始する時期
- 期限の1ヶ月前: DIPSでの申請と納付が済んでいるか確認する最終期限
例えば、カレンダーのタイトルに「ドローン免許更新:6ヶ月前」と入れておけば、忘れる心配はありません。家族や同僚と共有カレンダーを使っているなら、そこに入れておくのも効果的です。
混雑を避けて早めに手続きを済ませる
繰り返しになりますが、ギリギリの行動はリスクしかありません。特に、手続きには「自分の作業」だけでなく「スクールの処理」と「国の審査」という他人の時間が関わってきます。
年度末や長期休暇の前などは、スクールも国も休みに入り、手続きがストップすることがあります。
「明日が期限なのに、まだ納付案内が来ない」と焦るような状況は、精神的にもよくありません。半年間の猶予があるのですから、最初の1〜2ヶ月で全ての作業を終わらせるくらいのスピード感が理想です。
更新時のよくある疑問
初めての更新では、イレギュラーな状況への対応に迷うこともあります。多くの人が抱く不安について、回答を整理しました。
この章では、手続き中に期限が切れるケースや、住所が変わった際などの具体的な対処法を説明します。
手続き中に有効期限が切れたら?
DIPS 2.0で更新申請を提出し、審査を待っている間に有効期限を迎えてしまった場合、その時点では「有効な免許を持っていない」状態になります。
申請さえ出していれば失効はしませんが、新しい免許証が手元に届くまでは、ドローンを飛ばすことはできません。
この空白期間を作らないためには、やはり期限の1ヶ月以上前には全ての申請を終わらせておく必要があります。もし間に合わなかった場合は、新しい免許証が届くまで飛行を控えてください。
住所や氏名が変わったときは?
引っ越しで住所が変わったり、結婚などで氏名が変わったりした場合、更新申請と同時に変更することはできません。
まず「記載事項変更届」という手続きをDIPS 2.0で行い、登録情報を最新にしてから、改めて更新申請を出すという順番になります。
例えば、免許証の裏面に旧住所が書かれたまま更新しようとすると、書類の不一致で審査が止まってしまいます。二度手間を防ぐためにも、マイページの「基本情報」が今の自分と合っているか、真っ先に確認しましょう。
複数の限定解除がある場合は?
夜間飛行や目視外飛行といった「限定解除」を持っている場合、これらは技能証明本体とセットで更新されます。
更新講習の中で、限定解除に関する内容も含まれているか、申し込み時にスクールへ確認しておきましょう。通常の講習を受ければ、基本的にはそのまま新しい免許証にも限定解除の情報が引き継がれます。
ただし、一部の特殊な条件(重量25kg以上の機体など)については、個別の受講が必要になる場合もあります。自分の持っている資格の範囲をしっかり伝えて、過不足のない講習を受けるようにしてください。
まとめ:計画的な更新でスムーズに手続きを
ドローンの技能証明を更新するためには、有効期限の6ヶ月前から始まる「更新講習の受講」と「DIPS 2.0での申請」の2つをセットで行う必要があります。
- 期限の確認: 免許証を見て満了日を把握する
- 講習の受講: 早めにスクールを予約して講習を終える
- DIPS申請: 修了コードを入力してオンラインで申請する
- 手数料納付: 納付案内メールを見逃さずに支払う
2025年以降、更新対象者が一気に増えるため、システムやスクールの混雑も予想されます。直前になって慌てることのないよう、早めの準備を心がけてください。
まずはDIPS 2.0にログインして、登録情報が最新かどうかをチェックすることから始めましょう。

