ドローン導入で使える助成金・補助金は?種類や申請のポイントを解説

ドローン

ドローンをビジネスに導入しようとすると、機体代やソフト、さらには免許の取得費用など、想像以上にお金がかかります。高額な投資を前に二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

国や自治体には、ドローンの導入を支援する仕組みがいくつも用意されています。こうした制度を賢く使えば、費用の半分以上をカバーできるケースも珍しくありません。この記事では、あなたの事業で使える支援策の種類や、失敗しないための注意点をわかりやすくまとめました。

ドローンの費用を抑えるために知っておきたい基礎知識

制度を探し始める前に、まずは「お金がもらえる仕組み」の全体像を掴んでおきましょう。一言に支援金と言っても、誰でももらえるものから審査が厳しいものまで、その性質はバラバラです。

後から「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、まずは基本となる3つのポイントを整理しました。

助成金と補助金はどっちを狙うべき?

名前は似ていますが、この2つは「もらえる難易度」が大きく違います。助成金は、条件さえ満たしていれば高い確率で受給できるのが特徴です。主に厚生労働省が担当しており、従業員の教育や働き方改革を助ける目的で出されます。

一方で補助金は、予算や採択枠が決まっているため、審査を勝ち抜かなければ1円ももらえません。しかし、その分だけ金額が大きく、1,000万円を超えるような大型の支援も存在します。

以下の表に、それぞれの主な違いをまとめました。

項目助成金(例:人材開発)補助金(例:ものづくり)
主な目的雇用維持、人材育成事業拡大、新サービスの開発
難易度条件を満たせば受給しやすい審査があり、倍率も高い
主な窓口厚生労働省経済産業省、自治体
受給額数十万円〜数百万円数百万円〜数千万円

まずは確実に狙える「助成金」があるかを確認し、その上で大きな投資が必要なら「補助金」に挑戦するという順番がスムーズです。

対象になるのは「機体代」だけではない

ドローンの支援制度では、目に見える機体そのものだけでなく、運用に必要な「目に見えないコスト」も対象に含まれることが多いです。例えば、撮影したデータを解析するソフトの月額料金や、操縦者がスクールに通うための受講料なども、経費として認められる場合があります。

例えば、建設会社が測量用ドローンを導入するケースを考えてみましょう。機体代が200万円だとしても、3次元解析ソフトに50万円、さらに担当者2名のライセンス取得に60万円かかれば、総額は300万円を超えます。これら全てをセットにして申請できる制度を選ぶのが、賢いやり方です。

反対に、SDカードなどの消耗品や、パソコン本体などは対象外とされることが多いため、何が認められるかは事前にしっかりと確認しておきましょう。

支払いは「後払い」が基本になる点に注意

ここが一番の落とし穴ですが、助成金や補助金は「先にお金をもらってから買い物をする」ことはできません。まずは自分で全額を支払い、事業が完了したことを報告した後に、数ヶ月から1年ほど経ってからようやく口座に振り込まれます。

つまり、300万円の機体を買うなら、一時的に300万円を立て替える資金力が不可欠です。

手元のキャッシュが足りない場合は、銀行の融資を併用するか、支払いを分割にできるリース契約などを検討する必要があります。「お金がないから補助金を頼る」のではなく、「投資するお金はあるけれど、その一部を後で補填してもらう」というスタンスでいましょう。

産業用ドローンの購入に活用できる「ものづくり補助金」

本格的にドローン事業を立ち上げたい企業にとって、最も力強い味方になるのが「ものづくり補助金」です。この制度は、これまでにない新しいサービスや、作業効率を劇的に上げるための設備投資を支援してくれます。

非常に人気のある制度ですが、その分だけ計画書の内容には説得力が求められます。

最大1,250万円まで支援される仕組み

ものづくり補助金の魅力は、なんといってもその金額の大きさです。通常枠でも数百万円、規模の大きな事業であれば最大1,250万円までの補助を受けることができます。

例えば、1,500万円の高度な点検用ドローンを導入する場合、補助率が3分の2であれば、最終的な自己負担は500万円で済みます。

ただし、誰でもこの金額をもらえるわけではありません。賃上げ(従業員の給料を上げる)の約束をしたり、DX(デジタル化)を推進したりといった、国が掲げる目標に沿った計画を立てることで、補助率がアップする仕組みになっています。

点検や測量など「新しいサービス」への活用が条件

単に「今の業務が楽になるからドローンを買う」という理由だけでは、審査を通過するのは難しいでしょう。この補助金で大事なのは、そのドローンを使って「地域や業界にどんな新しい価値を生むか」という点です。

具体的な活用例をいくつか挙げます。

  • 橋梁点検: 足場を組まずにドローンで点検し、コストと期間を半分にする。
  • 精密農業: センサー付きドローンで生育状況を分析し、必要な場所にだけ農薬をまく。
  • 物流: 山間部の孤立した集落へ、ドローンを使って医薬品を配送する。

このように、具体的な課題解決に向けた道筋をアピールすることが、採択への近道となります。

セキュリティ対策済みの機体が推奨される背景

最近の補助金では、導入する機体の「中身」も厳しくチェックされるようになっています。特に政府関連の仕事や、重要インフラの点検にドローンを使う場合、データの漏洩リスクがある機体は敬遠される傾向にあります。

これは「経済安全保障推進法」というルールが関わっており、中国製などの一部の機体が補助対象から外されたり、審査で不利になったりするケースが見られます。

補助金を使って機体を買うなら、セキュリティ対策が施された国産機や、信頼性の高い海外メーカーの特定機種を選ぶのが無難です。申請する前に、販売店へ「この機体は補助金の対象として問題ないか」と確認しておくことを強くおすすめします。

空撮や点検事業を始めるなら「小規模事業者持続化補助金」

「ものづくり補助金ほど大規模ではないけれど、少し背中を押してほしい」という個人事業主や小さな会社にぴったりなのが、この「持続化補助金」です。

本来はチラシを作ったり、ホームページを改修したりするための広告費を助ける制度ですが、ドローンを使った販路開拓も対象になります。

最大250万円を受け取れる枠がある

通常の枠では50万円が上限ですが、インボイス対応や創業などの条件を満たすと、最大250万円まで枠が広がります。ドローンの機体そのものは100万円前後のものも多いため、この金額感は非常に使い勝手が良いと言えます。

例えば、以下のようなケースでよく利用されています。

  • 地元の不動産業者に向けた、空撮による物件紹介サービスの開始
  • 屋根点検をドローンで行うための機体購入と、その周知チラシの作成
  • 新しく始めるドローン測量サービスのPR動画制作

チラシ作成やホームページ改修とセットで申請できる

この補助金のユニークな点は、ドローンの購入だけでなく「どうやって売るか」という活動にもお金が使えることです。むしろ、ドローンを買うだけでは不十分で、それをどう宣伝するかの計画が重要視されます。

活用できる項目の例をリストアップしました。

  • 新しいドローンサービスの特設サイト制作
  • サービス内容を説明するパンフレットの印刷代
  • ドローンスクールへの入学金(委託費として)
  • 展示会への出展費用

機体を買うのと同時に、お客様を呼び込むための施策をワンセットで進められるのが、この制度の大きなメリットです。

商工会や商工会議所のアドバイスが必須

この補助金に申し込むには、地域の商工会や商工会議所へ行き、自分の事業計画を説明して「事業支援計画書」を発行してもらう必要があります。いきなりネットで申請して終わり、というわけにはいきません。

「計画書なんて書いたことがない」という方でも安心してください。窓口の担当者が、内容のブラッシュアップを一緒に手伝ってくれます。

早めに相談に行くことで、自分のビジネスの弱点が見えてきたり、より効果的なドローンの使い道に気づけたりすることも多いです。まずは最寄りの商工会議所に電話をしてみることから始めましょう。

ドローン免許の取得費用をカバーする「人材開発支援助成金」

機体はあるけれど、飛ばせる人間がいない。そんな悩みを解決してくれるのが、社員の教育訓練をサポートする助成金です。2022年から始まったドローンの国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)の取得費用にも、この制度が使えます。

受講料の最大75%が戻ってくる

この助成金を使えば、高額なドローンスクールの受講料を大幅に削減できます。一般的なコースであれば、一定の条件を満たすことで支払った費用の最大75%が戻ってきます。

例えば、一等資格の取得に60万円かかった場合、45万円が助成金として戻ってくる計算です。さらに、研修を受けている時間に対しても「1時間あたり数百円」の賃金助成が出るため、会社としては社員をスクールに通わせる負担を最小限に抑えられます。

業務としてドローンを飛ばす従業員が対象

この制度が使えるのは、あくまで「会社の業務としてドローンが必要な社員」です。社長一人の会社(役員のみ)や、趣味で飛ばしたいだけの場合は対象になりません。

また、雇用保険を支払っている正社員であることが基本条件となります。

建設現場の監督に点検を任せたい、農作業の合間にドローンを飛ばしてほしいなど、明確な業務命令として資格を取らせる場合にのみ、国がお金を出してくれます。申請には「訓練計画」の提出が必要なので、事前に社内の体制を整えておく必要があります。

登録講習機関での受講が必要な理由

助成金をもらうためには、どこのスクールでも良いわけではありません。国(国土交通省)に認められた「登録講習機関」で受講することが絶対条件です。

世の中にはたくさんのドローンスクールがありますが、全てのスクールが助成金の対象になっているわけではありません。

スクールの種類特徴助成金の対象
登録講習機関国家資格の取得を目指す公的なスクール○(対象になりやすい)
民間スクール独自の認定証を発行するスクール△(条件による)
独学・個人指導知人から教わる、自分で練習する×(対象外)

申し込みの前に、そのスクールが「人材開発支援助成金の活用実績があるか」を確認するのが最も確実です。実績のあるスクールなら、申請に必要な書類の準備もスムーズに手伝ってくれます。

農業用ドローンや自治体が独自に出す支援制度

特定の業界や地域に特化した、少し珍しい支援制度についても触れておきましょう。これらは全国区の補助金に比べてライバルが少なく、狙い目になることがあります。

スマート農業を加速させる農林水産省のプロジェクト

農家の方であれば、農林水産省が主導する「スマート農業」関連のプロジェクトをチェックしてみてください。高齢化や人手不足を解消するために、ドローンを使った農薬散布や生育管理の導入を強く推進しています。

例えば「農作業の自動化」をテーマにした実証試験や、地域でまとまって機体を購入する際の共同購入支援などがあります。地域のJA(農協)が窓口になっていることも多いため、肥料や種苗の相談ついでに、ドローンの補助金情報がないか聞いてみるのが一番の近道です。

都道府県や市町村が独自に募集する補助金

国だけでなく、自治体が地元の産業を盛り上げるために、独自のドローン補助金を出すケースが増えています。

過去には以下のような事例がありました。

  • 長野県佐久市: 農業用ドローンの導入費用を一部補助。
  • 兵庫県: ドローン関連事業の起業や拠点開設に対する大型補助。
  • 東京都: 中小企業が最新機器を導入する際の「設備更新」支援。

こうした自治体の制度は、募集期間が1ヶ月程度と非常に短いことが多いため、市役所の産業振興課などのウェブサイトをこまめにチェックしておく必要があります。

地域ごとの募集情報を探す方法

自分の地域にどんな制度があるかを知るには、以下の3つの窓口を使い分けるのが効率的です。

  1. J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト): 全国の補助金情報をまとめて検索できる、国のポータルサイトです。
  2. 地元の商工会議所: ネットに載っていないような、地域の細かい助成情報を把握しています。
  3. ドローン販売店: その地域で補助金を使って機体を買った人の事例をよく知っています。

特に「地元の販売店」は、申請のコツや採択されやすい機体構成について具体的なノウハウを持っていることが多く、非常に頼りになる存在です。

申請前に必ず確認したい3つのチェックポイント

「よし、申請しよう!」と決めても、焦りは禁物です。補助金の申請には、独特の「ルール」や「落とし穴」があります。これを知らないと、せっかくの努力が無駄になってしまうかもしれません。

公募期間と導入のタイミングが合っているか

補助金の多くは、申請できる期間(公募期間)が決まっています。また、最も重要なルールは「採択される前に機体を買ってはいけない」という点です。

例えば、今日ドローンを購入して、明日から補助金を申請しても、その購入費用は1円も認められません。

  1. 制度を調べる
  2. 申請書を出す
  3. 「採択(合格)」の通知をもらう
  4. ようやく機体を発注・購入する

この順番を間違えると、補助金は絶対にもらえません。今すぐドローンが必要なのか、半年後の導入でも間に合うのか、スケジュールを冷静に見極めてください。

採択後にかかる事務作業の負担を把握する

お金をもらった後も、仕事は終わりません。補助金を受けるということは、国民の税金を使うということです。そのため、適正に使われたことを証明するための膨大な書類が必要になります。

領収書はもちろん、発注書、納品書、振込明細、さらには機体が届いた時の写真や、実際に使っている様子の報告書まで求められます。

「書類を作るために、本業の時間が削られてしまった」という声もよく聞きます。事務作業に自信がない場合は、行政書士などの専門家にサポートを依頼することも検討しましょう。その際のコンサル費用が補助金の対象になるケースもあります。

自己資金をあらかじめ用意できているか

先ほども触れましたが、補助金は「後払い」です。もし200万円の補助金がもらえるとしても、先に300万円の機体を買うための資金が必要です。

この資金を確保できずに、採択された後になって「やっぱり買えません」と辞退するケースも少なくありません。

自己資金が足りない場合は、日本政策金融公庫などの「補助金が出ることを前提とした融資」を検討してみてください。補助金が振り込まれたら一括で返済する、といった条件で貸してくれる場合があります。

補助金以外でドローンの初期投資を減らす方法

もし補助金の審査に落ちてしまったり、公募期間が合わなかったりしても、諦めるのはまだ早いです。税制面での優遇や、支払い方法を工夫することで、実質的なコストを下げる道は残されています。

「中小企業投資促進税制」などの節税対策

一定の条件を満たすドローンを導入した場合、支払った金額の一部を法人税から直接差し引いたり(税額控除)、その年の経費として一括で計上(即時償却)したりできる制度があります。

例えば、100万円のドローンを買った際、通常なら数年かけて減価償却するところを、その年に全額経費にできれば、その分だけ法人税を大幅に安く抑えられます。

補助金のような「現金がもらえる」仕組みではありませんが、最終的に手元に残るお金が増えるという意味では非常に効果的です。自分の買おうとしている機体が「生産性向上設備」などに該当するか、顧問税理士に相談してみましょう。

リースやレンタルで毎月の固定費に分散させる

「一括で数百万円払うのはきつい」という場合は、リース契約が有効な手段になります。

リースなら毎月数万円の支払いで最新の機体を使えますし、支払額は全額経費として処理できるのが一般的です。ドローンは進化のスピードが早いため、あえて「所有」せずに、3年程度の短いスパンで新しい機体に入れ替えていくリース契約は、理にかなった選択と言えます。

また、特定の業務でしか使わないのであれば、その都度レンタルするという手もあります。高額なメンテナンス費用や保険代を考えなくて済むため、稼働率が低い初期段階では最もリスクの低い方法です。

ドローンの助成金についてよくある質問

最後に、相談窓口などでよく聞かれる疑問についてまとめました。

個人事業主でも申請できる?

はい、多くの補助金や助成金で個人事業主も対象に含まれています。特に「小規模事業者持続化補助金」は、個人事業主の利用が非常に多い制度です。ただし、開業届を出していることや、確定申告を適切に行っていることが最低条件となります。

中古のドローンは対象になる?

基本的には「新品」のみが対象となるケースが多いです。中古品の場合、適切な価格かどうかの証明が難しいためです。ただし、一部の制度では「古物商の許可を持っている業者から購入し、3社以上の相見積もりを取る」などの厳しい条件をクリアすれば認められることもあります。ハードルはかなり高いと考えておきましょう。

複数の補助金を同時に使うことはできる?

同じ機体に対して、2つの補助金を重ねて使うことは「二重受給」として禁止されています。例えば、100万円のドローンに対して「ものづくり補助金」と「自治体の補助金」の両方からお金をもらうことはできません。ただし、「機体は補助金、社員の免許代は助成金」というように、対象となる中身が別であれば併用できる場合があります。

まとめ:ドローン導入のコストを賢く削減しよう

ドローンの導入費用を抑える方法は、機体代の補助からライセンス取得の支援まで、実は多岐にわたります。まずは自分の事業規模や目的に合わせて、以下の3つのステップで検討してみてください。

  • ステップ1: 従業員の免許取得なら「人材開発支援助成金」を確認する。
  • ステップ2: 小規模な販路開拓なら「持続化補助金」で機体と広告をセットにする。
  • ステップ3: 大規模な新事業なら「ものづくり補助金」で最新鋭の機体を狙う。

補助金は魔法の杖ではありません。申請の準備や後払いのリスクなど、大変な面も確かにあります。しかし、正しく活用すれば、あなたのビジネスの可能性を一気に広げてくれる強力な武器になります。まずは地域の商工会議所や、信頼できるドローン販売店に相談し、一歩踏み出してみましょう。

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