ドローンの国家資格である「技能証明」を手に入れたら、次に欠かせないのがオンラインシステム「DIPS 2.0」への登録です。免許証という「カード」を持っているだけでは、国のシステム上であなたの能力を証明したことにはなりません。
システム上で自身の免許情報を紐づける「認証」の手続きを行い、さらに会社やチームと情報を「共有」する設定を済ませることで、初めてスムーズな飛行申請が可能になります。今回は、初めての方でも迷わない認証手順と、トラブルを防ぐための共有設定について詳しく解説します。
技能証明を「認証済み」にするメリット
ドローンの国家資格を取得したあと、DIPS 2.0で技能証明書を登録し「認証済み」の状態にすることは、単なる情報の記録以上の意味を持ちます。これは、国土交通省のデータベースとあなたの操縦者アカウントを正式にリンクさせる作業です。
認証が完了していないと、飛行許可申請を行うたびに免許証の画像をアップロードしたり、手動で番号を入力したりする手間が発生します。それ以上に大きなデメリットは、審査官があなたの資格情報を即座に確認できないため、許可が下りるまでに余計な時間がかかってしまう点です。
「認証済み」になることで得られる具体的なメリットを、以下の表にまとめました。
| 項目 | 認証前(未登録) | 認証後(登録済み) |
| 申請時の入力 | 免許番号や取得日を都度入力 | 自動で反映される |
| 書類の添付 | 免許証の写しが必要 | 不要(システム連携) |
| 審査のスピード | 確認に時間がかかる | 迅速に完了する |
| カテゴリーⅡ飛行 | 手続きが煩雑 | 簡略化された手順が使える |
飛行許可申請の審査が簡略化される
DIPS 2.0で技能証明が認証されると、飛行許可・承認申請のプロセスが劇的に楽になります。システムが自動的に「この操縦者は国家資格を保持している」と判断するため、操縦者の能力に関する追加書類の提出が大幅にカットされるからです。
例えば、これまでは過去の飛行実績を証明するログの提出が求められたケースでも、国家資格があることでその証明が不要になる場面があります。これは、国が定めた厳しい試験をクリアした事実が、システム上で瞬時に裏付けられるためです。
ただし、認証設定を忘れたまま申請を進めてしまうと、せっかくの資格が考慮されず、従来通りの厳しい審査が行われてしまうリスクがあります。「資格を取ったのに、なぜか許可が下りるのが遅い」と感じる原因の多くは、この認証忘れにあります。
カテゴリーⅡ飛行の手続きがスムーズになる
国家資格の大きな強みは、特定の条件を満たすことで許可申請が不要になる、あるいは簡略化される「カテゴリーⅡ飛行」にあります。これを活用するためには、システム上で認証が完了していることが絶対条件です。
認証済みであれば、立ち入り管理措置を講じた上での目視外飛行や夜間飛行など、実務で頻繁に行われる運用がスムーズに開始できます。
一方で、資格を持っていてもシステムがそれを認識していなければ、依然として個別の許可申請が必要になり、業務のスピード感を損なってしまいます。現場で「今日すぐに飛ばしたい」という状況になった際、認証が済んでいるかどうかが作業の可否を分けることになります。
自身の操縦実績を正しく証明できる
将来的に飛行実績を管理したり、新たな限定解除を追加したりする際にも、認証済みのデータが役立ちます。システム上で一元管理されることで、いつどの資格を取得し、どのレベルの飛行が可能なのかが客観的に証明されます。
例えば、転職時や大規模なプロジェクトに参加する際、自身のスキルを証明するためにDIPS 2.0の画面を提示するシチュエーションも考えられます。
「確かに持っていますが、システムにはまだ登録していません」という状態では、対外的な信頼を得るのが難しいこともあるでしょう。今のうちに認証を済ませておくことは、操縦者としての「デジタルの身分証」を整えることと同じなのです。
技能証明書をシステムに登録する手順
技能証明書が手元に届いたら、すぐにDIPS 2.0での登録作業を開始しましょう。作業自体はそれほど難しくありませんが、カードに記載された情報を一文字のミスもなく入力することが「認証成功」への近道です。
ここでは、ログイン後の画面操作から、登録完了までの具体的なステップを解説します。
- DIPS 2.0にログイン: 操縦者アカウントで入る。
- 操縦者情報の確認・変更を選択: メニューから移動する。
- 技能証明情報を追加: 免許証の種類(一等・二等)を選ぶ。
- 番号と生年月日を入力: ハイフン等に注意して入力する。
- 認証リクエストを送信: システムの照合を待つ。
免許証が届いたらまず「技能証明番号」を確認する
登録作業の第一歩は、手元の技能証明証に記載されている「技能証明番号」を正しく把握することです。これは16桁の英数字で構成されており、あなたの資格を一意に特定する非常に重要な番号です。
この番号をシステムに入力する際、半角・全角の指定ミスや、数字の「0(ゼロ)」とアルファベットの「O(オー)」の打ち間違いが非常によく見られます。
一度でも間違えると、システムは「該当する資格なし」と判断し、認証エラーとなってしまいます。まずは明るい場所で免許証を確認し、メモ帳アプリなどに正確に書き出してから、それをコピー&ペーストすることをおすすめします。
操縦者情報の「技能証明情報」から新規登録する
番号の確認ができたら、DIPS 2.0のマイページにある「操縦者情報の確認・修正」メニューを開きます。その中にある「技能証明情報」の項目を探し、「新規登録」ボタンを押してください。
ここでは、保有している資格の等級(一等または二等)を選択し、先ほど確認した技能証明番号と、あなたの生年月日を入力します。
まれに「どこから登録すればいいかわからない」と迷う方がいますが、機体の登録画面ではなく、あくまで「操縦者(人)」の情報管理画面にあることを意識してください。ここを間違えると、いつまで経っても自分のアカウントに資格が紐づきません。
システム上で「認証済み」のステータスを目指す
情報の入力が終わって「保存」または「申請」を行うと、システムによる自動照合が始まります。入力内容が国のデータベースと一致すれば、ステータスが「認証済み」に変わります。
もしステータスが「確認中」のまま数日が経過したり、エラーが表示されたりする場合は、入力した情報に不備がある可能性が高いです。
確かに正しく入力したはずなのに認証されない場合は、資格の発行から間もないためデータベースに反映されていないか、あるいはスクール登録時の情報とDIPSの登録情報が食い違っていることが考えられます。焦らずに、まずは入力ミスがないかを再確認しましょう。
他者の申請に情報を共有する設定の進め方
国家資格を取得すると、会社単位での飛行申請や、行政書士に依頼しての申請に「操縦者」として含まれる機会が増えます。このとき、相手の申請画面にあなたの情報を呼び出せるようにするのが「情報共有設定」です。
初期設定では「共有しない」になっていることが多いため、他者があなたの資格情報を使って申請を行おうとしても、「検索しても出てこない」というトラブルが頻繁に起こります。
マイページの「操縦者情報共有設定」を開く
まずはDIPS 2.0のトップ画面からマイページに進み、「操縦者情報の共有設定」という専用のメニューを探してください。ここは、あなたの操縦者IDや技能証明の情報を、第三者のシステムから「検索可能にするかどうか」を決める場所です。
この設定画面に辿り着けないと、相手にいくら正しいIDを伝えても、システム上では「存在しない操縦者」として扱われてしまいます。
「自分一人でしか飛ばさないから共有は不要」と思っている方でも、将来的にドローンスクールのインストラクターとして登録したり、大規模な空撮案件にチームで参加したりする際には、必ずここでの設定が必要になります。
共有を「許可する」にチェックを入れる
設定画面を開くと、共有の可否を選択するチェックボックスが表示されます。これを「許可する」に変更し、設定を保存してください。
この設定を有効にすることで、他のユーザーがあなたのIDを入力した際に、あなたの氏名や保有資格が検索結果に表示されるようになります。
プライバシーが気になる方もいるかもしれませんが、共有を許可したからといって、不特定多数にあなたの住所などの詳細な個人情報が公開されるわけではありません。あくまで、正しくあなたのIDと氏名を知っている特定の相手が、申請作業のために情報を引用できるようになるだけです。
共有する情報の項目を選択する
「許可する」にチェックを入れる際、どの情報を共有するか細かく選択できる場合があります。基本的には「氏名」と「技能証明情報」の共有は必須です。
これを選択していないと、相手はあなたを操縦者として追加できても、あなたの持っている国家資格を申請に反映させることができません。
例えば、会社の飛行申請で「目視外飛行」を行う場合、あなたの技能証明にある限定解除の情報が共有されていなければ、その申請自体が不備として跳ね返されてしまいます。相手が必要としている情報が何であるかを確認し、過不足なく共有設定を行いましょう。
情報の共有相手に伝えるべき3つの項目
共有設定を「許可」にしただけでは、相手はあなたを見つけることができません。申請を行う担当者(会社の人や行政書士など)に、検索に必要な正確なデータを伝える必要があります。
伝えるべき項目は、主に以下の3点です。これらをメールやチャットで間違いなく共有しましょう。
- 操縦者ID: DIPS 2.0のログインIDとは別物です。
- 氏名(カナ): DIPSに登録しているカタカナ表記です。
- 技能証明の区分と番号: 国家資格を反映させるために必要です。
操縦者ID(英数字の組み合わせ)
最も重要なのが、あなたの操縦者アカウントに割り当てられた「操縦者ID」です。これはDIPS 2.0にログインするためのユーザーIDとは異なり、システム内であなたを識別するための固有のコードです。
マイページの上部や操縦者情報の確認画面に記載されている、長めの英数字を伝えてください。
このIDを一文字でも間違えると、相手の画面には「該当なし」と表示されてしまいます。特にアルファベットの「L」と「I」、数字の「1」などは見分けがつきにくいため、テキストデータとして正確に送るのが基本です。
氏名(カタカナ)の先頭数文字
DIPS 2.0の操縦者検索機能では、セキュリティの観点から「ID」と「氏名(カナ)」の両方が一致しないと検索できない仕組みになっています。
相手に伝える氏名は、DIPS 2.0に登録した通りのカタカナ表記である必要があります。
例えば、名字と名前の間の「スペース」の有無や、濁点の位置など、登録情報と一文字でも違うと検索に引っかかりません。もし相手が「検索しても出ない」と言う場合は、自分がDIPSにどんなカナ表記で登録しているかを確認し、そのままの文字列を伝えてください。
取得している技能証明の区分と番号
相手が法人申請などであなたの資格を紐づけたい場合、共有設定が済んでいれば番号自体はシステム上で検索可能ですが、あらかじめ「二等・目視外・夜間あり」のように取得区分を伝えておくと親切です。
これにより、申請担当者はどの操縦者がどの役割(目視外担当など)に適しているかを事前に判断でき、スムーズに書類を作成できます。
また、念のため技能証明番号も添えておくと、万が一システム連携がうまくいかなかった際の手動入力用として役立ちます。相手の手間を減らすことが、プロジェクト全体のミスを減らすことにも繋がります。
操縦者情報が共有できないときの確認ポイント
共有設定を許可し、IDも正しく伝えたはずなのに、相手の画面で検索に引っかからない。こうしたトラブルはDIPS 2.0では日常茶飯事です。
そんな時にチェックすべき項目をリストにしました。一つずつ確認してみましょう。
- 共有の有効期限: 設定に期限がある場合、切れていないか。
- 本人確認のステータス: アカウント自体の本人確認は済んでいるか。
- DIPSのシステム不具合: メンテナンス中や一時的なエラーではないか。
共有設定が「許可」になっているか
まずは、自分の設定がいつの間にか「共有しない」に戻っていないか、あるいは設定変更後の「保存」ボタンを押し忘れていないかを確認してください。
DIPS 2.0の操作は慣れていないと煩雑で、設定を変更したつもりでも最後に確定操作を行っていないケースが意外と多いのです。
もう一度設定画面を開き、確かに「許可する」の側にチェックが入っていることを目視で確認してください。もし「許可する」になっていたとしても、一度「拒否」にしてから再度「許可」にして保存し直すことで、システムが正しく更新される場合もあります。
入力したIDや氏名に間違いがないか
相手に伝えたIDや氏名に間違いがないか、もう一度自分の登録情報と突き合わせてみましょう。特に、DIPS 2.0に登録した氏名が「旧字体」になっていたり、ミドルネームが入っていたりする場合、検索のハードルが上がります。
例えば、相手が「ヤマダ タロウ」と入力していても、あなたの登録が「ヤマダタロウ(スペースなし)」であれば、システムは別人だと判定します。
解決策として、自分のDIPS画面にある操縦者IDと氏名をスクリーンショットで撮り、それを相手に送るのが最も確実です。相手はその画面を見て、一文字ずつ正確にコピー&ペーストできるため、入力ミスのリスクを最小限に抑えられます。
本人確認(マイナンバー等)が完了しているか
意外と見落としがちなのが、あなたのアカウント自体の「本人確認」が未完了であるケースです。
技能証明書を認証したり、他者と情報を共有したりするためには、あらかじめアカウントがマイナンバーカードやgBizID等で本人確認されている必要があります。
「本人確認書類の提出」がまだの方は、先にその手続きを済ませてください。確認が完了して初めて、技能証明の認証や共有機能がフルで使えるようになります。もし「手続き中」のステータスであれば、それが完了するまで数日から1週間ほど待つ必要があります。
認証済みにならない原因と対策
技能証明の情報を入力しても、一向に「認証済み」に変わらない。あるいは「不備があるため差し戻されました」という通知が届く。こうした状況には、明確な原因があります。
最も多いのは、あなたがスクール(登録講習機関)に登録した情報と、DIPS 2.0に登録している情報の「わずかなズレ」です。
スクールとDIPSの登録住所が違う
国家資格の試験を受けた際、スクールに提出した住所や氏名のデータは、そのまま国の技能証明書データベースに登録されます。一方で、DIPS 2.0のアカウントはあなたが自身で登録したものです。
この2つのデータの住所が、一文字でも違うと認証されません。
例えば、一方が「1丁目2番3号」で、もう一方が「1-2-3」となっているだけでも、システムは不一致とみなすことがあります。また、マンション名の有無なども大きな要因です。認証されないときは、まずスクールの修了証等に記載された住所と、DIPSのプロフィール住所を完全に一致させるように修正してください。
氏名の漢字やフリガナが一致していない
住所と同様に、氏名の表記ミスも認証エラーの定番です。よくあるのが、スクール側には「斉藤」で登録されているのに、DIPS側は「齋藤」になっているといった漢字の違いです。
フリガナについても、姓名の間のスペースの有無や、濁点の打ち間違いがないか確認しましょう。
「自分の名前だから間違えるはずがない」と思わずに、技能証明証に印字されている文字を正しく読み取り、DIPS側の情報をそれに合わせるのが解決の近道です。特に旧字体を使っている方は、システムの仕様によって正しく認識されないこともあるため、注意深く確認してください。
技能証明書の発行から時間が経っていない
技能証明書の試験に合格し、免許証の発行申請を行ってから、実際にカードが手元に届くまでの間、あるいは届いた直後は、国のデータベースへの反映が完了していないことがあります。
カードが届いたその日に登録しようとしてエラーが出る場合は、1〜2日ほど時間を空けてから再度試してみてください。
通常、カードが発送された時点ではデータ連携が済んでいるはずですが、システム間の同期タイミングによってはタイムラグが発生します。何度試しても住所や氏名に間違いがない場合は、数日間様子を見ることで、自動的に認証が通るようになることも珍しくありません。
情報共有を解除・変更する際の注意点
他者との情報共有は便利ですが、一度設定するとどのようなリスクがあるのか、また解除する際の注意点は何かを理解しておく必要があります。
特に、会社を辞めた際や、特定のプロジェクトから抜けた際の設定変更は、トラブルを避けるために重要です。
共有先を個別に制限することはできない
DIPS 2.0の現在の仕様では、「Aさんには共有するが、Bさんには共有しない」という個別の制限をかけることはできません。
共有設定を「許可」にすると、あなたのIDと氏名を知っている人であれば、誰でもあなたの情報を申請に引用できる状態になります。
そのため、IDを無闇にSNSなどに公開するのは避けましょう。信頼できる相手にだけIDを教え、必要がないときには共有設定をオフにするという、小まめな管理がセキュリティを守ることに繋がります。
情報を更新したら再度共有し直す必要がある
技能証明に新しい限定解除(例えば夜間飛行や目視外飛行)を追加したり、有効期限を更新したりした場合、共有先の相手の申請画面には自動的に最新情報が反映されないことがあります。
システム上の「認証済み」データは更新されますが、相手がすでに作成している申請書の中身は古いままというケースがあるからです。
大きな変更があった際は、共有相手に「資格情報が更新されたので、申請内容を確認してください」と一言添えるのがスムーズです。これにより、古い資格情報のまま申請が出され、不備で差し戻されるのを防ぐことができます。
退職時などは速やかに共有設定をオフにする
所属していた会社を退職したり、特定のチームでの活動を終了したりした場合は、速やかに「操縦者情報の共有設定」をオフにしましょう。
オンのままにしておくと、退職後も元いた会社があなたの情報を引き出して、飛行申請を行えてしまう可能性があります。
もちろん悪用されるケースは稀ですが、管理責任の所在をはっきりさせるためにも、自分の情報は自分で守る意識が必要です。新しい環境で再び共有が必要になった時に、再度オンにすれば良いだけですので、区切りのタイミングでの設定見直しを習慣にしましょう。
まとめ:正しい認証と共有でスムーズなフライトを
ドローンの技能証明をDIPS 2.0で「認証済み」にし、必要に応じて「情報共有」の設定を済ませることは、現代の操縦者にとって必須のスキルです。
- 認証: 免許情報を紐づけて、申請の手間を省き、審査を早める。
- 共有: 会社やチームの申請に自分の能力を反映させる。
- 確認: 住所や氏名の不一致、共有設定のオン・オフを小まめにチェックする。
これらの手続きを正しく完了させておくことで、いざという時の飛行許可申請で慌てることなく、プロフェッショナルな操縦者として活動できるようになります。
まずは今日、自分のDIPS 2.0マイページにログインし、ステータスが「認証済み」になっているか、そして適切な共有設定がなされているかを確認してみましょう。

