メルカリやヤフオクなどのフリマサイトで中古のドローンを売買したり、知人から機体を譲り受けたりしたとき、避けて通れないのが「名義変更」の手続きです。2022年から100g以上の機体は登録が義務化されており、持ち主が変わる際には国への届け出が法律で決まっています。
この手続きは、国土交通省のシステム「DIPS2.0」上で行います。以前の登録記号をそのまま引き継げるため、新しく登録し直すよりも手間が省けるメリットがあります。ここでは、譲る側と受け取る側がそれぞれ何をすべきか、具体的なステップを追いながら分かりやすく解説します。
ドローンを譲るときに必要な手続きは?
ドローンを他人に譲る際、単に機体を渡すだけでは手続きは完了しません。国のデータベースに登録されている所有者情報を、新しい持ち主の情報へ書き換える「名義変更(譲渡手続き)」を行う必要があります。
この章では、名義変更の基本的な考え方や、手続きに関わる登場人物、そして気になる手数料について説明します。まずは全体の流れを把握して、スムーズな取引ができるように準備を整えていきましょう。
登録記号を引き継ぐための名義変更
ドローンの機体譲渡とは、現在その機体に割り当てられている「登録記号(JUから始まる番号)」を、新しい所有者に引き継ぐ作業のことです。
この手続きを行わずに機体だけを渡してしまうと、システム上はいつまでも前の持ち主が責任者として残ってしまいます。
例えば、譲り受けた人が事故を起こした場合、警察や国交省から連絡が行くのは登録上の所有者、つまり「あなた」になってしまいます。
こうしたトラブルを防ぐためにも、所有権が移ったタイミングで確実に名義を書き換えることが大切です。
名義変更の手順は以下の通りです。
- 譲る側がDIPS2.0で「譲渡」の申請を出す
- システムから「譲渡用パスワード」を発行する
- 受け取る側がそのパスワードを使って「受取」の申請をする
この「バトンタッチ」のような作業を行うことで、機体の登録記号を変えることなく、所有者の情報だけを新しく更新できます。
譲渡人と譲受人の双方が操作する
ドローンの名義変更が少し特殊なのは、譲る側(譲渡人)と受け取る側(譲受人)の両方がDIPS2.0を操作しなければならない点です。
どちらか一方だけの操作では、手続きを完了させることはできません。
これは、所有者の知らないところで勝手に名義を変えられたり、逆に身に覚えのない機体を登録されたりするのを防ぐための安全策です。
お互いがシステムにログインし、共通のパスワードを介して「譲ります」「受け取ります」という意思表示をする必要があります。
知人間での譲渡なら連絡もスムーズですが、ネットオークションなど顔の見えない相手との取引では特に注意が必要です。
あらかじめ「DIPSでの譲渡手続きが必要であること」を双方で合意しておかないと、発送した後に連絡が取れなくなり、手続きが止まってしまうリスクがあります。
例えば、発送前に譲る側がパスワードを発行し、取引メッセージで伝えておくといった段取りを決めておくと良いでしょう。
手続きに手数料はかかる?
多くの方が気にされるのが費用面ですが、実は登録済みの機体を引き継ぐ「譲渡手続き」自体に手数料はかかりません。
新規で機体を登録する際には数千円の費用が発生しますが、名義変更であれば無料で完了します。
これは、すでに登録されているデータを書き換えるだけの手続きであるため、国が手数料を徴収しない仕組みになっているからです。
「お金がかかるから後回しにしよう」と考える必要はありませんので、譲渡が決まったらすぐに進めるのが得策です。
新規登録と譲渡手続きの違いを比較表にまとめました。
| 項目 | 新規登録 | 譲渡(名義変更) |
| 手数料 | 900円〜2,400円程度 | 0円(無料) |
| 登録記号 | 新しく発行される | 今の番号を引き継ぐ |
| 本人確認 | 必須 | 必須 |
例えば、新しく登録し直すと、機体に貼り付けた登録記号のシールも作り直さなければなりません。
譲渡手続きなら今のシールをそのまま使えるため、手間もコストも最小限に抑えられます。
手続きを始める前に準備するもの
DIPS2.0での操作を始める前に、手元に揃えておくべき情報がいくつかあります。
特に相手の情報を正確に把握していないと、申請の途中で入力ができなくなり、二度手間になってしまいます。
この章では、譲渡を進めるために不可欠なアカウント情報や本人確認書類についてまとめました。
以下のリストをチェックして、忘れ物がないか確認してからシステムにログインしましょう。
DIPS2.0のアカウントとログイン情報
名義変更はすべてオンラインで行うため、譲る側・受ける側の両方がDIPS2.0のアカウントを持っていることが大前提です。
まだアカウントを持っていない場合は、まずはメールアドレスを登録して「個人」または「法人」のアカウントを作成してください。
すでに機体登録や飛行許可の申請で使っているアカウントがあれば、それを使います。
ログインに必要なIDとパスワードが手元にあるか、事前にログインして確認しておきましょう。
準備しておくべきログイン環境は以下の通りです。
- DIPS2.0のログインID(メールアドレス)
- ログインパスワード
- 二段階認証用のスマートフォン(設定している場合)
例えば、久しぶりにログインしようとしてパスワードを忘れてしまい、再発行に時間がかかるというケースは非常によくあります。
スムーズに譲渡を終えるために、まずは自分の管理画面にしっかり入れる状態にしておきましょう。
譲受人のログインIDと氏名
譲る側(譲渡人)が申請を出す際、相手(譲受人)を特定するための情報が必要になります。
具体的には、相手がDIPS2.0に登録している「ログインID」と「氏名(カナ)」を正確に教えてもらう必要があります。
この情報が1文字でも間違っていると、システム上で相手を見つけることができず、譲渡パスワードを発行することができません。
特にネットでの取引では、相手の本名を知らないケースもあるため、事前に確認のメッセージを送っておきましょう。
相手に確認しておくべき項目は以下の通りです。
- DIPS2.0に登録しているログインID(通常はメールアドレス)
- 登録している氏名のフルネーム(カタカナ表記)
例えば、相手が「DIPSには旧姓で登録していた」といった食い違いがあると、エラーが出てしまいます。
「DIPSに登録している通りに教えてください」と一言添えておくと、間違いを防げます。
本人確認書類(マイナンバーカード等)
機体を受け取る側(譲受人)は、申請の最後に本人確認を行う必要があります。
これは新規登録時と同じで、なりすましによる不正な登録を防ぐための重要なステップです。
一番のおすすめはマイナンバーカードですが、持っていない場合は運転免許証やパスポートでも代用可能です。
ただし、書類によって手続きの完了までにかかる時間が異なる点には注意しましょう。
本人確認に使える主な書類と特徴をまとめました。
| 書類の種類 | 確認方法 | 完了までの時間 |
| マイナンバーカード | スマホアプリで読み取り | 即時〜数分 |
| 運転免許証 | 写真をアップロード | 数日(担当者の目視後) |
| パスポート | 写真をアップロード | 数日(担当者の目視後) |
例えば、すぐにでもドローンを飛ばしたい場合は、マイナンバーカードを使うのが最短です。
運転免許証などの場合は、国交省の担当者が内容を確認するまで「待ち」の時間が発生するため、余裕を持って手続きを進めましょう。
譲る側(譲渡人)が進めるステップ
ここからは、機体を「手放す側」の具体的な操作を見ていきましょう。
DIPS2.0のメニューは多岐にわたるため、迷わないように一つずつ順番を追って説明します。
まずは譲渡用のパスワードを発行することが、この手続きのスタート地点となります。
相手に機体を発送する前、あるいは発送と同時にこの作業を済ませておくと、その後のやり取りが非常にスムーズになります。
DIPS2.0で譲渡申請メニューを開く
DIPS2.0にログインしたら、まずは機体登録に関するメニューを探します。
トップ画面にある「機体登録申請」ボタンをクリックし、その中にある「登録済み機体の譲渡・抹消」という項目を選んでください。
すると、現在あなたが所有している機体の一覧が表示されます。
今回譲渡する機体の右側にある「譲渡」ボタンをクリックして、詳細な入力画面に進みましょう。
メニューを選ぶ際の注意点は以下の通りです。
- 「抹消」を選ばない(登録記号が消えてしまいます)
- 複数の機体がある場合は、製造番号をよく確認する
例えば、同じ機種を2台持っている場合、間違った方の機体を譲渡対象にしてしまうと、取り消しに手間がかかります。
機体本体に貼ってあるシールや、機体が入っていた箱のシリアルナンバーと照らし合わせながら選んでください。
譲渡用パスワードを発行する
譲渡する機体を選んだら、次は相手(譲受人)の情報を入力する画面に移ります。
ここで、あらかじめ聞いておいた相手の「ログインID」と「氏名(カナ)」を入力し、検索ボタンを押します。
正しく相手が特定されると、システムから8桁程度の「譲渡用パスワード」が発行されます。
このパスワードは、いわば機体の所有権を移すための「鍵」のようなものです。
パスワード発行時のチェックポイントをまとめました。
- 発行されたパスワードをメモ、またはコピーしておく
- 相手の情報に間違いがないか最終確認する
- 画面を閉じる前に「申請」を完了させる
例えば、パスワードが表示されただけで満足してブラウザを閉じてしまうと、申請が未完了のままになってしまうことがあります。
最後に必ず「申請を受け付けました」というメッセージが出るまで画面を進めてください。
相手にパスワードと機体情報を伝える
パスワードが発行されたら、それを速やかに相手に伝えます。
システムから相手に自動で通知が行くわけではないため、自分でメールやチャットを使って連絡する必要があります。
伝えるべき情報は、パスワードだけではありません。
相手がシステムで機体を探すために必要な「登録記号(JU…)」も併せて伝えてあげると親切です。
相手に送るメッセージの例を挙げます。
- 譲渡用パスワード:〇〇〇〇〇〇
- 機体の登録記号:JU-〇〇〇〇〇〇
- パスワードの有効期限:発行から30日間
確かに、パスワードだけをポーンと送られても、相手は何の手続きに使えばいいか困ってしまうかもしれません。
「DIPS2.0の譲り受けメニューでこれを使ってください」と一言添えるだけで、取引の満足度はぐっと高まります。
相手が手続きを終えるまでは、あなたの管理画面上では「譲渡申請中」というステータスになります。
受け取る側(譲受人)が進めるステップ
パスワードを受け取ったら、次は「受け取る側」の出番です。
機体が手元に届く前でも手続きは可能ですが、基本的には機体を確認してから行うのが安全でしょう。
ここでは、譲渡パスワードを使って自分のアカウントに機体を紐付ける手順を解説します。
最後に行う本人確認を終えるまでは、法的にあなたの所有物とは認められないため、最後まで一気に進めていきましょう。
「譲り受け用」のメニューから申請する
受け取る側も、まずはDIPS2.0にログインします。
メニューの中から「機体登録申請」を選び、今度は「他者から譲り受けた機体の登録申請」という項目をクリックしてください。
ここをクリックすると、パスワードの入力画面が表示されます。
前の持ち主から教えてもらった「登録記号」と「譲渡用パスワード」を正確に打ち込みましょう。
操作を始める際の注意点です。
- 自分で「新規登録」を選ばないようにする
- パスワードの有効期限が切れていないか確認する
例えば、間違えて「新規登録」から進めてしまうと、手数料が発生する上に、新しい登録記号が発行されてしまいます。
既存の登録(JU番号)を引き継ぐためには、必ずこの「譲り受け」メニューから入る必要があることを覚えておいてください。
譲渡用パスワードを入力して機体を紐付ける
パスワードが正しく入力されると、システムが該当する機体を検索し、画面に表示してくれます。
機体の名称や製造番号が表示されますので、これから自分が手にする機体と間違いがないか、しっかり確認してください。
内容に間違いがなければ、そのまま「機体の紐付け」を行います。
これにより、前の持ち主の手から離れ、あなたの所有機候補としてリストアップされることになります。
入力時のポイントをまとめました。
- アルファベットの「O(オー)」と数字の「0(ゼロ)」を見間違えない
- 大文字・小文字の区別に気をつける
- スペースが入っていないかチェックする
例えば、コピー&ペーストした際に前後に余計な空白が入ってしまうと、エラーで弾かれることがあります。
うまく進まない時は、一文字ずつ手入力してみるのも一つの方法です。
正しく認証されると、機体の詳細情報を確認する画面へと進みます。
本人確認を済ませて申請を完了させる
機体の紐付けができたら、最後にあなた自身の本人確認を行います。
ここが名義変更手続きの最終関門です。
前述した通り、マイナンバーカードをお持ちであれば「デジタル社会推進標準ガイドライン」に準じた即時確認が可能です。
スマホでカードを読み取るだけで、その場で手続きが国へ送信されます。
本人確認が終わった後の流れは以下の通りです。
- 国交省の担当者が申請内容を確認する
- 問題がなければ「登録完了」の通知メールが届く
- 自分のDIPSマイページに機体が追加される
例えば、運転免許証の写真を送る方法を選んだ場合、完了までには数営業日かかります。
その間は、まだ法的には「名義変更中」の状態ですので、勝手に外で飛ばすことはできません。
登録完了のメールが届き、マイページに自分の機体として表示されて初めて、手続きはすべて完了となります。
譲渡用パスワードの扱いに注意
手続きの鍵となる「譲渡用パスワード」ですが、これにはいくつか気をつけなければならないルールがあります。
「発行したけれど使えなかった」というトラブルの多くは、このルールを知らないことから発生しています。
ここでは、有効期限や再発行のやり方など、パスワードに関するトラブルを防ぐための知識をまとめました。
特に期限については、取引が長引いた際にうっかり忘れがちですので注意しましょう。
パスワードの有効期限は30日間
DIPS2.0で発行された譲渡用パスワードには、「発行日から30日間」という有効期限が設定されています。
この期間を過ぎてしまうと、そのパスワードは無効になり、受け取る側が入力してもエラーになってしまいます。
例えば、フリマアプリでの取引で、発送から受け取り評価、さらには開封後の確認などで時間がかかってしまうと、気づかないうちに期限が迫っていることがあります。
パスワード管理の注意点です。
- 発行日をメモしておき、相手に伝えておく
- 取引が成立してから発行するようにする
- 期限が切れそうな場合は、一度申請を取り消して再発行する
確かに、30日あれば十分なようにも思えますが、相手が忙しくて手続きを後回しにしている間に期限が切れるというケースは意外と多いものです。
「1ヶ月以内に手続きをお願いします」と一言添えておくと、お互いに安心ですね。
忘れてしまったときの再発行の手順
もし発行したパスワードをメモする前に画面を閉じてしまったり、メモを失くしてしまったりした場合はどうすればいいのでしょうか。
残念ながら、一度発行されたパスワードを後から画面上で確認することはできません。
この場合、譲る側(譲渡人)が一度その機体の譲渡申請を取り消し、もう一度最初から申請をやり直して、新しいパスワードを発行する必要があります。
再発行の手順は以下の通りです。
- DIPS2.0にログインし「申請状況確認」を開く
- 現在出している譲渡申請を選び「取り下げ」を行う
- 再び「譲渡・抹消」メニューから譲渡申請を出し直す
例えば、相手から「パスワードがわからなくなった」と言われた場合も、この手順で新しいパスワードを送り直してあげてください。
手間はかかりますが、これ以外の確認方法はないため、発行直後のメモは徹底しましょう。
パスワードがエラーで使えないときは
有効期限内であり、入力も間違っていないはずなのにエラーが出る。そんな時は、相手(譲渡人)の情報と自分の情報がシステム上で正しくマッチしていない可能性があります。
よくある原因をいくつか表にまとめました。
| 原因 | 状況 | 対策 |
| 情報の不一致 | 譲渡人が入力した相手のIDや氏名が、今の登録と違う | 相手に登録内容を再確認してもらう |
| 申請の重複 | すでに別の譲渡申請や抹消申請が出ている | 他の申請が出ていないか確認する |
| システム保守 | DIPS2.0のメンテナンス時間中である | メンテナンス終了後に試す |
例えば、譲る側があなたの名前を漢字で登録していたけれど、実際にはカナで登録されていた、といった些細なミスでもエラーになります。
「どうしても通らない」という場合は、一旦申請を取り下げてもらい、お互いのDIPS登録画面のスクリーンショットを送り合うなどして、情報の完全一致を確認するのが近道です。
リモートIDの情報も書き換える
機体の名義変更が終わっても、まだ安心はできません。
2022年以降のドローンには、車のナンバープレートのような役割をする「リモートID」が搭載されています。
このIDの中身も、新しい所有者の情報に書き換える必要があります。
これを忘れると、空を飛んでいるドローンが発信している情報と、国のデータベースの情報が食い違ってしまい、違反とみなされる可能性があります。
ここでは、リモートIDの情報を更新する具体的な手順を見ていきましょう。
内蔵型リモートIDの紐付け解除
最近の主要なドローン(DJIのMini 3やAir 3など)には、機体内部にリモートID機能が組み込まれています。
名義変更が終わったら、まずは「前の所有者」の情報が残っている状態をクリアしなければなりません。
これは専用のスマートフォンアプリ(DIPS2.0アプリなど)を使って行います。
機体とスマホを接続し、リモートID情報の削除または更新を選択します。
解除のステップは以下の通りです。
- 機体の電源を入れ、アプリと接続する
- 「リモートID書き込み」メニューを開く
- 以前の情報を一度削除する
例えば、中古で買ったドローンをそのまま飛ばすと、墜落現場などで調べられた際、前の持ち主の情報が発信されていることになります。
これではせっかく名義変更した意味がありませんので、必ず機体側のデータも真っ新にしましょう。
新しい所有者情報の書き込み方法
古い情報を消したら、次はあなたの情報を機体に書き込みます。
これもDIPS2.0アプリを使って行いますが、事前にDIPSのWEBサイト側で「リモートIDとの紐付け」設定を済ませておく必要があります。
WEBサイトで自分の機体を選び、「リモートIDを書き込む」準備状態にしてからアプリを操作します。
書き込みの手順をまとめました。
- DIPS2.0(WEB)でリモートIDの紐付けボタンを押す
- スマートフォンのBluetooth機能をオンにする
- アプリを操作して機体にデータを転送する
確かに、この作業は少し手間がかかり、機械の操作に慣れていないと戸惑うかもしれません。
しかし、一度書き込んでしまえば、次からは自動で情報が発信されます。
「機体登録」と「リモートID書き込み」はセットの作業だと考えて、必ず一気に終わらせてしまいましょう。
外付け型リモートIDを使い回す際の注意点
リモートIDが内蔵されていない古い機体や自作機の場合、外付けの発信機(リモートIDビーコン)を使っているはずです。
機体と一緒にこの発信機も譲り受けたなら、その中身も書き換えが必要です。
外付け型の場合、機体そのものというよりは「発信機」に対して登録記号を紐付けます。
新しい登録記号(JU番号)を、発信機に覚え込ませる作業を行ってください。
外付け型での注意点です。
- 複数の機体で一つの発信機を使い回す場合は、その都度書き換えが必要
- 発信機のシリアルナンバーがDIPSに正しく登録されているか確認
- 充電が切れていると書き込みができないため、フル充電で行う
例えば、前の持ち主から「リモートIDもあげるよ」と言われた場合、そのデバイスがどの機体用に登録されていたものかを確認しましょう。
名義変更後の新しいJU番号を発信機に書き込むことで、ようやく法的に完璧な状態で空へ飛び出すことができます。
手続きをしないとどうなる?
「手続きが面倒くさい」「自分しか知らない場所で飛ばすから大丈夫」といった考えで名義変更を怠るのは、非常に大きなリスクを伴います。
現在の航空法は非常に厳しく、ドローンの無登録飛行や虚偽登録は、交通違反のような「反則金」ではなく、重い「罰則」の対象となります。
この章では、手続きを忘れた際のリスクや、実際に起きた検挙事例についてお伝えします。
あなたの趣味や仕事を台無しにしないためにも、法律の重さを再確認しておきましょう。
航空法違反による厳しい罰則
ドローンの機体登録情報を正しく更新せずに、以前の持ち主の名義のまま(あるいは無登録で)飛行させた場合、航空法違反に問われます。
その罰則は、想像以上に重いものです。
具体的には、以下の罰則が規定されています。
- 1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
これは「ちょっとしたミス」では済まされないレベルの刑罰です。
罰金刑であっても「前科」として記録に残ります。
例えば、仕事でドローンを使っている方であれば、この一回の違反で会社を解雇されたり、二度と飛行許可が降りなくなったりする恐れもあります。
たった数分で終わる無料の手続きを惜しんだ代償としては、あまりにも大きすぎると言えるでしょう。
無登録飛行で書類送検された事例
「バレなければいい」と思うかもしれませんが、警察や海上保安庁による取り締まりは年々強化されています。
特に観光地や公園など、人の目がある場所での飛行は、通報される確率も高いのが現状です。
実際に、中古で購入した機体の名義変更を忘れたまま飛行させ、警察に摘発された事例が全国で報告されています。
- ネットで買ったドローンをテスト飛行させたら、登録が前所有者のままだった
- 知人から譲り受けたが、DIPSの手続きを知らずに飛ばしてしまった
こうしたケースでも、「知らなかった」という言い訳は通用しません。
書類送検されれば、警察署での取り調べや検察庁への呼び出しなど、多大な時間と精神的な負担がかかります。
また、こうしたニュースは実名で報じられることもあり、社会的な信用を失うリスクがあることも忘れてはなりません。
前所有者に通知が届き続けるリスク
手続きをしないことのデメリットは、飛ばしている本人だけに留まりません。
前の持ち主(譲渡人)にとっても、大きな迷惑がかかり続けます。
DIPS2.0では、登録されている所有者に対して定期的に更新の案内や重要なお知らせが届きます。
名義変更がされていないと、すでに手放したはずの機体について、国から連絡が来続けることになります。
例えば、以下のような迷惑がかかります。
- 身に覚えのない機体更新の督促メールが届く
- 飛行許可の期限切れ通知が届く
- 万が一の墜落時に、警察から身に覚えのない連絡が入る
これは、前の持ち主からすれば非常にストレスフルな状況です。
信頼関係で成り立っている知人同士であれば、これが原因で仲が険悪になってしまうかもしれません。
「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、お互いがスッキリした状態で取引を終えるのが、ドローンユーザーとしてのマナーです。
中古ドローンを売買するときの注意点
メルカリ、ヤフオク、ラクマなどのフリマアプリでの取引は便利ですが、ドローン特有のトラブルも潜んでいます。
特に「名義変更ができない機体」を掴んでしまうと、せっかく買ったドローンがただの置物になってしまうことすらあります。
最後に、中古取引で失敗しないための、売り手・買い手それぞれの注意点をまとめました。
これを守るだけで、取引後のトラブルを9割以上防ぐことができます。
フリマアプリで出品する前にやるべきこと
あなたがドローンを売る側(譲渡人)であれば、出品画面に「名義変更の手続きが可能であること」を明記しましょう。
これが書いてあるだけで、買い手は安心して購入に踏み切れます。
出品前に済ませておくべき準備は以下の通りです。
- DIPS2.0に自分の機体が正しく登録されているか確認
- 登録時の書類(機体登録証のデータなど)をすぐ出せるようにしておく
- 譲渡手続きに、相手の「ログインID」と「氏名(カナ)」が必要な旨を記載
例えば、すでに機体登録を「抹消」してしまった場合は、名義変更ではなく、相手が新しく「新規登録」を行う必要があります。
この場合、相手には数百円〜数千円の手数料が発生するため、その旨を伝えておかないと、後で「聞いていなかった」とクレームになりかねません。
現状が「登録中(名義変更可能)」なのか「抹消済み」なのかをはっきりさせるのが、良心的な出品者の務めです。
登録が抹消されていない機体を買ってしまったら
買い手として最も怖いのが、届いたドローンの登録が「前の前の持ち主」のままだったり、出品者が手続きを拒否したりするケースです。
前の持ち主が「譲渡」の操作をしてくれない限り、あなたは自分の名義にすることができません。
また、前の所有者が登録を維持したままだと、あなたは新規登録をすることすらできません(二重登録になるため)。
購入時に確認すべきチェックリストです。
- 出品者の名義で正しく登録されているか
- 譲渡パスワードを確実に発行してくれるか
- 商品説明に「DIPS対応」の文字があるか
例えば、「名義変更のやり方がわからないので、ご自身でお願いします」と書いている出品者には要注意です。
譲る側が操作しない限り、買う側はどう頑張っても自分名義にはできないからです。
こうした機体には手を出さない、あるいは購入前に「譲渡申請をお願いできますか?」と確認を徹底しましょう。
相手と連絡が取れない場合の対処法
もし機体を買った後に相手と連絡が取れなくなり、名義変更も抹消もされていない状態になったらどうすればいいのでしょうか。
残念ながら、DIPS2.0のシステム上、第三者が強制的に名義を変えることはできません。
この場合、フリマアプリの運営に通報し、取引のキャンセルや相手への催促を依頼することになります。
それでも解決しない場合は、最悪のケースとして「その機体は法律上、外で飛ばせない」という結論になりかねません。
例えば、相手のアカウントが削除されてしまった場合などは、非常に困難な状況になります。
これを防ぐための最大の防衛策は、**「名義変更のパスワードを受け取り、自分のDIPSで認証が完了するまで、絶対に受取評価(取引完了)をしない」**ことです。
評価をしてしまうとお金が相手に渡り、連絡を取る手段が実質的に失われます。
「手続きが終わるまで取引は完了させない」という強い姿勢が、自分の身を守ることに繋がります。
まとめ:正しい手続きで安心なフライトを
ドローンの機体譲渡は、一見すると複雑な「二段階のステップ」が必要ですが、内容自体は無料で数分で終わるシンプルなものです。DIPS2.0を使いこなし、前の持ち主から新しい持ち主へ、正しくバトンを渡すことがドローン操縦者としての第一歩と言えます。
- 譲渡人がパスワードを発行し、譲受人がそれを入力して受け取る
- 手続き自体は無料だが、双方のアカウントと本人確認が必須
- 名義変更後は、機体のリモートID情報の書き換えも忘れずに行う
ドローンは空を飛ぶものだからこそ、誰が所有し、誰が責任を持っているのかを明確にすることが、空の安全を守ることに直結します。中古機を手に入れたワクワクした気持ちのまま、まずはシステムにログインして、真っ先に名義変更を済ませてしまいましょう。正しい手続きを終えた後の空は、今まで以上に広く、清々しく感じられるはずです。

